Comoy's Royal Comoys #430 Bulldog (1938-1940)

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description:

Royal ComoysはBlue Ribandの祖先モデルといわれる、戦前のハイグレードComoyである。ハイコントラストのプラムフィニッシュが美しいパイプ。後述するがこのパイプにはPat. Pendingのスタンプがあり、後に特許を取ったシャンク/ステムの金属チューブによる補強がなされている。シェイプは非常に珍しい、フラットボトム化されたbulldogで、シャンクは三角の断面を持つ。アップライトでありながらも丸みを帯びたこのシェイプはかなりレア。Comoy'sらしい非常に優美さを備えた#430。他にはグレゴリ―・ピース氏のサイトでこのパイプと全く同じスタンプを持つパイプのサンプルを見ることができる。尚、このパイプに刻印されたPAT. PENDINGは後年のUK PAT 521123を指すが、この特許は1938年11月出願、1940年5月に受諾されて成立しているので、生産時期をその間に特定できる。

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Comoy #430 shape execution :↑

ユニークなこのシェイプ#430においても、素晴らしく優美でかつ非常にクラシックであるという、フランスに出自を持つComoy'sの大きな特徴は顕著なままである。フラットボトムの使い勝手は申し分なく、トライアングル・シャンクもボウルを握った時の指の収まりが心地よい。後年(1950年頃?)フラットボトムブルの#430は廃止され、この番号#430は大型のcarabash/hornにアサインされることになる。

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Briar texture of 40's Royal Comoy:↑

Royal Comoysの美しいコントラストステイン。染料は長い時間の間に落ちてしまっているが、オリジナルのステインはプラムカラー。フラットボトムによる置いたときの収まりの良さにも注目。40年代の製作であることを示す、Londonの文字が入っていない円状P.O.Sスタンプがシャンクのファーサイドに刻印されている。

 

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UK PAT 521123 "INTER STEEL":↑

第二次大戦前〜戦中に特有なComoy'sのシャンク・ステム金属リング補強。愛称は"INTER STEEL"で、当時のパイプに付属するリーフレットにこの名前で図解されているのを見ることができる。この時点ではPAT PENDINGとなっているが、1940年にUK PAT 521123となる特許である。非常に高い技術と、製品の強度に対する高い意識が覗われる。後年、シャンク内リングは廃止されるが、Comoy'sのハイグレードパイプに見られるステム内の金属チューブはこの特許の名残かもしれない。

 

 

 

shape#:#430 Flat Bottom Bulldog
stem: handcut vulcanite
junction: metal enforced
color: plum contrast
ornament:none
length:140mm
height: 40mm
chamber dia: 18.5mm
chamber depth: 35mm
weight: 36g

nomenclature:
ROYAL
COMOYS(in upper case, san serif, without apostroph)
MADE IN ENGLAND(circular stamp)
430
PAT.PENDING(in upper case, san serif, slanted)
3 piece inlaid “C” (on the stem)

note:
・ボウル全体に軽微なハンドリングマーク