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1922年からその名をPre-Trans Barlingのラインナップに留めるGuinea Grainだが、そのプライスレンジを記述した資料は残念ながら発見されていない。とはいえ、それがトップ・オブ・ザ・ラインに匹敵するハイグレード・パイプだったであろうことは、実際にGuinea Grainを掌中に収めたことのある者なら容易に理解できることである。
この個体はExELサイズのGuinea Grain、しかもPre-Trans Barlingが得意としたシェイプのうちの一つ、アップルである。その素晴らしいグレインパターンに加え、色味の深い、パープルをベースステインとしたイエローアンバー・フィニッシュ、Pre-Trans BarlingのシグネイチャーであるFlat Saddleビット、そしてハンドターニングによる絶妙なシェイプエグゼキューションと、Guinea Grainの魅力を凝縮した1本となっている。
アップルはクラシック・シェイプの中でも最も代表的なシェイプのうちのひとつであるが、現代においてその特徴が最も理解されていないシェイプでもある。アップル・ボウルとは断じて単純な球形ではなく、複数のアールを持つ円の組み合わせで構成される実に複雑な形状である。Pre-Trans Barlingは数あるクラシック・ブリティッシュ・マークの中で最も、アップルの特徴を正確に、そして大胆にレンダリングするファームである。そこにほんの僅かテーパーのかかったシャンク、そして短いサドル基部、直線的にフレアするビットが組み合わされ、このBarlingだけが持つ独特のオーラが形成されるのだ。
エンジェルヘア系でこそないが、コントラスト・ステインでハイライトされた、ボウルを縦に走る素晴らしいグレインパターンもGuinea Grainの名に恥じない。パープルをベースステインとしたイエロー・アンバー・ステインは、他のBarlingのパイプには見られない、この伝説的グレードの特徴的なフィーチャーとなっている。
エンジニアリングもPre-Trans Barlingらしいもの。ベベルされショルダーが形成されたテノン周りの処理、大口径のリップスロットなど、優れた設計思想が優れた技術によって丁寧にインプリメントされているのが常である。
Guinea Grainは、(例外もあるが)Pre-Trans Barlingの中で唯一の筆記体Barlingのスタンプを持つラインである。変色してはいるがFlat SaddleデザインスタンプもBarling Crossも健在。出荷先のせいかP.O.Sは存在しない。また、Guinea Grainによく見られるE.Bのスタンプも存在しない。
グレイン、シェイプ、ターニング、そして内部のエンジニアリングと伝説的なクオリティのブライヤーが一体となって放つ柔らかなオーラは、何時間眺めていても飽きないGuinea Grainの最大の特徴かもしれない。
shape: apple
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: yellow amber wallnut
ornament:none
length: 142mm
height: 46mm
chamber dia: 20mm
chamber depth: 38mm
weight: 49g
nomenclature:
Barling's(script)
GUINEA GRAIN REGD
ExEL
Barling Cross on the stem
note:
・トップに二箇所のノック跡
・アウトラウンド少々
・クロス周り変色残存
・Barling Cross 50%残存