Comoy's Royal Comoys #13 Half Bent Billiard (1927-early'30s)

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description:

ROYALComoy'sのシリーズの中でも謎が多いグレードで、一説には第二次大戦以前、Comoy'sのトップグレードであったという。またBlue Ribandの祖であったともいい(この説には疑問視する声もある)、確かにダークで落ち着いた美しいウォルナットのステインは後年のBlue Ribandと共通点がある。ラインナップから消える度に、復刻を求める声が高まっては再生産されていたグレードで、年代によってフィニッシュやステインに大きな違いがある。

マウスピースにはU.K. Pat No.269082のアルミフィットメントが装着されている。Grand Slam Patent Systemほど精妙なものではないが、Grand Slam Systemが完成するまでのプロトタイプと位置付けられるだろう。Pat No. 269082は1926年出願、1927年許可であるから、このパイプの製作時期は1927年から特許が期限切れになる1946年(出願日から20年間)だと推測ができる。1930年代半ばになるとRoyal Comoysを含め、Comoyのフィルター付きパイプはほとんどがGrand Slam Patent Systemに移行することを考えると、30年代初期というのが妥当なところだろうか。その年齢の割には非常に状態が良い個体だといえるだろう。

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Comoy #13 shape execution :↑

Comoy'sのベントの中でも最も小ぶりなものの中に入る、シェイプ#13。独特のボウル前後のアールに差異を感じさせるボウルターニングといい、、優美なステムのベンドといい、美しいさにため息を禁じえない。Dunhill #56と並んでクラシックベントの一つの理想形だろう。

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Briar texture:↑

素晴らしく美しい、Royal Comoys特有のダブル・コントラストステイン。後年のBlue Ribandへと繋がり、Comoy'sのステイン技術を世界に知らしめ、デニッシュ・ハンドメイドにも影響を与えたステイン技術の原点がここにある。ベベルされていないリムは戦前のComoy'sに特有なディティール。

 

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Engineering:↑

(上)U.K. Pat No.269082のアルミフィットメントが装着されている様子が分かるストリップショット
(下)セミ・オリフィック・ボタンから後年の"Slender bite mouthpiece"に移行する過程と思われるマウスピースエクスキュージョン。

 

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Comoy Pat No.269082 "Frankenstein's lab" filter :↑

Finepipes InternationalのSamuel Goldberger氏が"フランケンシュタイン博士の実験室にある器具のような"と評した、U.K Pat No.269082のアルミフィットメントのアップ。略称『フランケンシュタイン・フィルター』。非常にレアなディティールである。

 

 

 

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shape#:#13 Half Bent Billiard
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: dark wallnut
ornament:none
length:137mm
height: 42mm
chamber dia: 18mm
chamber depth: 39mm
weight: 36g

nomenclature:
ROYAL
COMOYS(in upper case, san serif, without apostroph)
MADE IN ENGLAND(circular stamp)
13
3 piece inlaid “C” (on the stem)

note:
・ボウルトップにやや凹みあり
・ボウル全体に軽微なハンドリングマーク
・オリジナルアルミフィルター付属