Comoy's Tradition #256 Author (circa 1938)

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description:

TraditionComoy's生誕100周年を記念して1925年に発表されたグレードで、後年はComoy'sのエントリーレベルを担当したが、戦前のTraditionはトップグレードのパイプと同じ"A"グレードのブライヤーを使用し高い品質を誇った。Comoy'sのトレードマークである非常に美しいハイコントラストなステインが適用されている。

このTraditionはアポストロフなしのComoys(1938年〜1950年代初頭)だが、ラグビーボール型のLONDON MADEのP.O.S(1920年代から1938年まで)が使われているので製造年度は1938年にピンスポットで特定できそうである。さすがにブライヤー表面には経てきた長い年月のうちに傷がきざまれ、リムも丸まってしまっている。それでも管理人の偏愛する256番のAuthorシェイプと、戦前〜50年代前半のComoy'sに見られるダークウォルナットのハイコントラストステインは大変美しい。

今回新たにDave Wolff氏の経営するリペアショップ、Walker Briar Worksでステムを製作して貰った。Comoy'sinlaid C logoを備える力作である。詳細は写真をご覧いただきたい。

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Comoy #256 shape execution :↑

『完璧なAuthor』Comoy's #256。非常にマッシブでありながら、どの角度から見ても幾何学的な美しい均整を備えている。

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Metal Collar of Pre-war Comoy's:↑

戦前のComoy'sのパイプには、上の写真のようなシャンク補強のためのメタルカラーが装着されている場合がある。現在ではハイエンドのデニッシュ・ハンドメイド、それもTom Eltangなどの限られた少数の作家にしか見られないディティールである。当時のComoy'sの品質に対する高い意識が覗える。

 

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Briar texture of Pre-war Tradition:↑

戦前の、トップグレードと同じAグレードブライヤーを使用したTraditionのブライヤーテクスチャ。グレインがタイトで三次元的な生長の跡を見せていることから、非常に古いブライヤーが使われていることがわかる。ストレート系のような美しさでは決してないが、風格のあるグレインである。

 

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Replacement stem by Dave Wolff at Walker Briar Works:↑

Walker Briar Worksで製作して貰ったリプレイスメントステムのディティール。リップの成型は完璧な出来で実用性も非常に高い。全体的なシェイプも資料通りで美しいカーブを描く。インレイのレプリカロゴの出来は少々小さめだが良好。フィットに少々難があるが、このあたりがDave Wolff氏の手法"No-Scuff Repair"(シャンクのキャストを取ってリプレイスメントを製作するスキル。シャンクにサンドペーパーが当てることなしにステムの製作が可能になる)のウィークポイントかもしれない。以前付属していたリプレイスメントステムよりも相当軽くなっていることも特筆に価する。

 

 

 

shape#256:author
stem: vulcanite(replacement by Dave Wolff)
junction: inner metal collared
color: darkwallnut contrast
ornament:none
length:132mm
height: 37mm
chamber dia: 19mm
chamber depth: 30mm
weight: 44g

nomenclature:
Comoys (no apostroph, in upper case, san serif)
TRADITION
LONDON MADE(football shape)
256

note:
・リプレイスメントステム by Dave Wolff
・ボウル前面にへこみ
・ボウル全体にハンドリングマーク
・リムラウンド