The Everyman London Pipe #182 Saddle Billiard (mid60's-1975)

pic01

description:

Everymanは1925年、ロンドンのパイプメーカー、R. S. Boulton Ltd.によって発売されたライン。R.S.Boultonは後年Comoy'sによって吸収され、そのブランドであるEverymanは1935年にComoy'sのセカンドブランドとして再スタートされることになった。「全ての人にパイプを」という意味を込められた、リーズナブルな価格帯での販売を狙ったシリーズである。しかしその質はパテ埋め跡とサンドピットなどのブライヤーの微小な傷以外は全くComoy'sファーストラインと同じもので、安価ラインゆえの手抜き感などは微塵も感じられない。非常にコストパフォーマンスの高いシリーズである。

このEverymanはラージサドルビリヤードの#182。かなり大型のパイプで、Extraordinaireシェイプの#342と比較しても大きさはほぼ同程度である。下の写真で分かるように数個のパテ埋め跡とサンドピットが散見されるが、ダークウォルナットのステインは非常に魅力的である。ステムはモールドだと思われるが、ステムジャンクションは完璧な仕上がりで、ステム自体も僅かに断面の丸みが強いものの非常に出来がよい。総じてEverymanのシェイプエクスキューション、ステムワーク、ステイン、バランスなどを含めたトータルなパッケージングのレベルは非常に高いといえるだろう。ステムに埋め込まれたComoy'sセカンドラインを示す3-Bar logoもプリントではなく、金属の薄い板をインレイして作られた非常に凝った造りのものである。このサンプルを見る限り、オールドイングリッシュパイプの中でも傑出したベストバリューパイプといえよう。

尚、セカンドブランドにはComoy'sを表す刻印が見られないのが普通であるが、いくつかのComoy'sのセカンドブランド(Everyman, Guildhall)には1960年代以降、BY COMOY'Sの刻印がなされるようになる。したがってこのパイプは60年代以降の製品であることがわかる。

pic02 pic03 pic04
pic10

Briar Texture of Everyman London Pipe:↑

Everymanのブライヤークオリティ。シャンクの根元に一個、ボウル右側面に一個、パテ埋めの跡があるのが分かる。しかしこの傷以外はまさにComoy'sのファーストラインと同じ素晴らしいクオリティのディティールとステイン。

 

pic09 pic10

Box and literature:↑

当時Everymanはこのような箱に入って販売されていた。クラシックなイラストと貼箱が時代を感じさせる。内容物はパイプ本体、コットン製のチープなパイプスリーブ、そして保証書。アルミチューブはパイプから取り外して写したもの。

 

 

shape#182:Saddle billiard
stem: vulcanite
junction: normal
color: wallnut
ornament:none
length:148mm
height: 50mm
chamber dia: 22mm
chamber depth: 44mm
weight: 55g

nomenclature:
The(script)
EVERYMAN(in upper case, serif)
LONDON PIPE(in upper case, serif)
MADE IN ENGLAND(straight stamp)
BY
COMOY'S (in upper case, sans serif)
182
3-bar metal inlaid logo on the stem

note:
・新品箱入り未使用