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シェイプラインナップ改訂以前のAlfred Dunhillはビリヤード・マイスターとしても名高い。過去に多くの美しいシェイプを、枚挙に暇がないほど輩出しているが、その中でもシグネイチャー・シェイプといえばやはりレター・シェイプのラージビリヤード、LBに止めを刺すと言ってもいいのではないだろうか。シェイプ127はその有名なLBのショートモデルである。ややボウルが小型化し、ステムが短縮化しているが、バレルタイプのボウルといい、ウルトラヘビーシャンクといい、Stout(全長が短く、ボウル・シャンクともにヘビーなビリヤードの一種)としてはLBと同じ位魅力的なシェイプである。
このパイプは1967年製Shellbriarの127。ダブルブラストは廃されたものの、依然としてAlfred DunhillがShellbriarにアルジェリアンブライヤーを使用し、細心の注意を払ってオイルキュアリングを施してオールド・カラーで美しく染色していた頃のパイプである。オールドダンヒルに造詣の深い、トリニティスクールの校長氏の謂いによれば、1967年はShellbriarの長い歴史の中でも<当たり年>に属するもので、このパイプも筆者のコレクション中傑出したスモーキングクオリティを誇る。
ニアミントの極上な状態、芳醇で深い喫味、愛らしくも精悍なシェイプ127、そしてその魅力をスポイルしないシャロー&イーブンなブラストで武装した、間違うことなきワールドクラス・パイプである。
シェイプ127の歴史は古く、多くのレターシェイプと同じく、すでに1920年代の制作にされたものが現存している。1900年代初頭にごく一般的だった、トラベルセット用の短縮タイプのビリヤードがモデルになっているのではないかと思われるが、LBと同じく、過去のDunhillファクトリーの傑出したクラフトマンによって細々したモディファイを受け、「LBファミリー」(※1)とでも呼ばれるべき、1ジャンルのシェイプを形成しているのだ。ウルトラヘビーシャンクに接続されるバレルタイプのボウルはほんの僅か前傾し、同時にボトムラインと並行にトップがカットされているため、マッス感があるボウルでありながら野暮な印象を払拭し、スピード感すら感じさせている。ジャンクションから急角度でテーパーする直線的なステムも、さらなる精悍さをこのシェイプに付与している。
シャローではあるが、イーブンなバーズアイが全周に浮き出た筆者好みのブラストテクスチャ。Shellbriarにしてはやや大人しい、ドラマチックとは言えないテクスチャだが、シェイプの魅力を完全に保存しつつ精悍なアピアランスをパイプに付与している。ブラックのオーバステインの合間から透けて見えるオールドカラーの濃いレッドが美しい。今回もシェラックを使用してニアミントな状態をさらに磨き上げた。
精密機器を思わせるほどの、Alfred Dunhillの素晴らしいエンジニアリング。ヘビーシャンクに対してテノンも大型化されていることに注目。コンセントリシティもさすがといった精度で、リップ穴から容易にボウル底を透かして見ることが可能である。ステム内の途中の段差はINNER TUBEがそこまで挿入されていたことを示している。
shellbriar Kとの比較。シャンクの異常なまでの太さが実感できるショット。ステムとシャンクのアラインメントも完璧である。
スタンプ類のアップ。Date Codeは1967年を表す7がENGLANDの右に刻印されている。Dの文字と7は同じ大きさであることに注意。
letter shape #127 stout billiard
stem: vulcanite
junction: normal
color: darkred contrast
ornament:none
length:138mm
height: 48mm
chamber dia: 20mm
chamber depth: 41mm
weight: 47g
nomenclature:
127
DUNHILL
SHELLBRIAR
MADE IN
ENGLAND 7(7 same as D)
4(in a circle)
S
note:
・パーフェクトコンディション
(※1)LBファミリーにはラージビリヤードのLB、ラージビリヤードでややシャンクが細いLBS、スモールサイズの126、そしてミディアムサイズのこの127が含まれる。