estateパイプ関連用語集
通常の新品購入する場合ではあまり使われない、estateパイプに関連した独特の言葉を集めてみました。
パイプ各部名称・状態など
- band
- シルバー、ブラス、金、ニッケルなどで作られ、シャンクに装着されるバンド。後付けの場合(band is repair)シャンクのひび割れなどの可能性を疑うべきである。最初からデザインの一環として装着されているものはfactory bandと呼ぶ。
- bite(bit)
- バイト、もしくはビット。マウスピースの咥える側の1/3ほどの長さの部分を指す。スモーカーの歯と唇が触れるため、この部分の薄さは重要な快適さの指標となる。
- button
- ボタン。リップ部の突起だけを特に指して言う用語。ここの磨耗の程度で、マウスピースが過去どの位バッフィングを受けてきたかがわかる。
- chew
- リップを噛むこと。lip chewedと表記されている場合、リップ部分にかなり大きな歯型がついていることが多い。
- crack
- ひび割れ。シャンクのひび割れなどに使われることが多い。ごく細いものはhair-line crackなどと表現される。
- curing
- キュアリング。パイプの材料となるブライヤーブロックを乾燥させて、ブライヤーの内部に存在する樹脂や水分などという、喫煙の障害になる不純物を取り除く、パイプ製作に必須の工程を指す。キュアリングには大きく分けて自然乾燥と加熱系乾燥があり、それぞれ長所と短所が存在する。Air Curing(空気乾燥、Barlingなど)、Kiln Curing(温度調整された乾燥室での乾燥、GBDなど)、Oil Curing(スペシャルブレンドされた低温の油でブライヤーブロックを煮出し、ガスヒーティングシステムで加熱乾燥する手法、1969年以前のDunhillなど)、Oven Curing(低温の専用オーブンで加熱する方法、Sasieni)などの種類がある。その他にもスピリッツや蜂蜜を使用するものもある。
- ding
- へこみ。固いもの(机の角など)にボウルを打ちつけてできたものなどを指す。
- discolor
- 褪色。ヴァルカナイトの色が変色している場合や、ボウルのステインが色褪せていることなどを指す。
- gurgling
- ガーグリング。煙道内の不自然な結露が原因でごぼごぼという不快な音を生じること。煙道の造りの指標となる。
- hallmark
- シルバー・ゴールドなどの貴金属バンドに刻印されるマークで、複数の絵柄を解読することによってそのバンドが作成された年月を正確に知ることができる。くわしくはこちらを参照のこと。
- handling marik
- scratchやdingとまではいかないような軽微なボウル表面状の傷を指す。爪をおしつけてできた凹みなど。
- inlay
- インレイ。象嵌。メーカーロゴをスタンプなどではなく、象牙やセルロイド、ヴァルカナイト、プラスティックなどを使用して埋め込み処理をして製作すること。DunhillのWhite-Spotが有名。Comoy'sの3-piece inlaid Cや、SasieniのFour-Dotなどもinlaidロゴである。
- inner rim
- インナーリム。リムよりさらに内側の、チャンバーとリムの境界線あたりを指す。ここがべべル(面取り)処理になっているパイプが多い。
- lip
- リップ。マウスピースの咥える側の2mmほどの長さの、スモーカーの口に入る突起となっている部分。ここの形状はやはり快適さの指標となる。
- mint
- 真新しい状態。常套句に近いのでこう書かれていてもあまり当てにしないように。
- mortise
- モーティス。日本語で言うところのダボ穴。シャンクの、マウスピースが挿入される穴のこと。マウスピースを完全に挿しこんだ状態で、テノンの先端とモーティスの底の間にできる隙間をmortise gapといい、これが大きいと不自然な結露の原因となるため、パイプの出来の指標となる。
- NIB
- New In Boxの略。新品箱入り。
- nomenclature
- 刻印。狭義ではパイプのシリーズ名の刻印を指すが、普通はパイプのシャンクにスタンプされた情報全てをひっくるめて呼ぶことが多い。
- NS
- Never Smokedの略。未使用パイプ。
- out of round
- アウトラウンド。インナーリムが過度のリーミングなどにより、オリジナルの円より外側に削れている状態。estateパイプの状態を表す重要な指標になる。
- oxidization
- 酸化。ヴァルカナイトの色が変色していることを指すことがほとんど。
- PAT No.
- Patent number, PAT, Patent No.。特許番号。パイプが何らかの特許技術を採用している場合、その特許番号が刻印されることが多い。重要な年代測定のための資料となる。特許出願申請中の場合、刻印はPat Pendingとなる。
- P.O.S
- 生産地表示スタンプ。Place of Orgin Stamping。"LONDON MADE"や"MADE IN ENGLAND"などの刻印のこと。
- pristine
- 新品に近い状態。これも常套句。
- rim
- ボウルトップの、チャンバーを囲む縁の部分。ノックマークやタールの堆積がないかチェックすることが多い。
- scratch
- ひっかき傷。こう表現されている場合はかなり傷が深いことが多いので注意。
- stem
- ステム。マウスピースの、ボウル側の2/3ほどの長さの部分を指す。tenon looseはstem looseとも言う。
- stumel
- スタンメル。ブライヤーエヴォションより削り出された、マウスピースを未装着のパイプ本体のことを指す。
- tenon
- テノン。日本語で言うところのダボ。マウスピースのシャンクに挿入される部分。マウスピースの勘合が緩くなることをtenon looseという。
- tip
- 欠け。リップなどの一部が欠損している場合や、リムなどが削れている場合を指す。
- top off
- トップオフ。傷のついたボウルトップを削ってリムを切りなおすリペアの手法。estateパイプでは、過去にパイプがトップオフされていないかどうかも焦点となる。
- whistle
- ホイッスル。空吸いをした時に起こる、ヒューという音。ステムの吸気側の形状が原因となる。ヒューという音がするパイプのことをホイッスラーと呼ぶ。