Special Straight Grain #331 Squat Bulldog (1950's-mid60's)

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description:

全てのパイプをフリーハンド・ターニング製法で製作していたBarlingやCharatanとは異なり、Comoy'sは基本的にマシンメイドメーカーである。Comoy'sのコレクティブルとして最も有名なBlue Ribandですら、フィニッシュ工程は低グレードよりも手が込んでいるとはいえ、基本的にはレイズ(旋盤)ターンのマシンメイド・パイプであることに変わりはない。だが、同じく基本的にはマシンメイド・メーカーであるSasieniやDunhillでも、最上級グレードは修練を積んだ熟練した職人の手によってフル・ハンドメイドで製作されていたことは以外に知られていない。即ちSelected by Sasieni(Sasieni)やDR(Dunhill)である。

Comoy'sに於いてこのフル・ハンドメイドパイプに相当するものは、最上級グレードのSpecimen Straight Grainである。この最上級のプラトー・ブライヤーを使用し、熟練した(おそらくファーム内最高の)職人の手による製作でも、大量のリジェクト品が出てくることは容易に予想できることだ。これらのリジェクト品のうち、傷の程度の軽いものはSelected Straight Grainと命名され、そして傷の大きなものはSpecial Straight Grainと命名される。つまりこれらのパイプはSpecimenを製作する工程で生まれた"Specimen Second"であり、そのほかの通常のComoy'sの(マシン・メイド)ラインとは全く系統を異にしているのだ。

このパイプはSpecial Straight Grain、つまりフローの度合いがより大きい方の"Specimen Second"であり、シャンクにはかなり大きなフローとパテ埋め跡が4箇所ほど存在する。シェイプはスクワット・ブルの#331であるが、マシンメイド・ラインのシェイプ331とは大幅に形状が異なっていて、このパイプがSpecimen Straight Grainと同じく、Comoy'sでも最も信頼された熟練した職人の手によって、フリーハンド・ターニングで製作されたことは明らかだ。グレインも完全にセンターへのアラインを意識した木取りで、かなりのストレートが出ている。

フローの存在から、総体として見たこのパイプはただのセカンド品にしかすぎないが、非の打ち所のないクラフトマンシップ、Specimenと同じ美しいコントラスト・ナチュラルのステイン、そしてハンドターニング独特の重厚な存在感を身にまとっていているのは間違いない。ステムには通常セカンド品に与えられることはないComoy's3 Piece inlaid C ロゴを備えているが、このロゴはこのパイプを担当した職人からの贈り物かもしれない。不幸にもセカンドにランクされたこのパイプを、彼もおそらく不憫に思ったに違いないのだ。

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shape#:331 Squat Bulldog
stem: vulcanite
junction: normal
color: wallnut highlight
ornament:none
length:149mm
height: 38mm
chamber dia: 21mm
chamber depth: 30mm
weight: 42g

nomenclature:
Special(script)
STRAIGHT GRAIN
MADE IN LONDON(circular stamp)
ENGLAND
331
3 piece inlaid “C” (on the stem)

note:
・ほぼ問題なし