The Guildhall London Pipe #F337c Prince (1950's-mid60's)

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description:

Guildhallは1948年に導入された、Comoy'sセカンドブランドである。セカンドラインの中でも比較的高級グレードで、グレインが素晴らしいが僅かなフローやピットのあるスタンメルがセレクトされて作られた。またComoy'sが初めて、後年Golden Contrastと呼ばれるコントラストステインを導入したのもこのシリーズが初めてで、その非常に美しく印象的なフィニッシュは他のメーカーにも大きな影響を与え、GBD Seventy sixなどのフォロワーを多数生み出したようである。

パテ埋めの数も少なく、スモーキングクオリティでなんらファーストグレードと変わるところはないため、海外のシリアスなComoy'sスモーカーの中にはこのGuildhallこそがComoy'sのベストバイ・グレードであると主張する者もいるほどである。市場価格も非常に廉価であり、良好な状態の個体や、新品箱入りでの出物も多い。Comoy'sビギナーに最もお勧めしたいグレードである。

Everymanと同じく、Guildhallも1960年代以降BY COMOY'Sの刻印がなされるようになるため、このパイプは60年代中期以前の製品であることがわかる。

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Comoy #337c shape execution :↑

Comoy'sのプリンス(※1)の中では最もポピュラーなシェイプ#337c。末尾に付く"c"は1/8ベントを示しており、これが付かないストレートの#337というシェイプも存在する。実に手堅い、Comoy'sらしい洗練されたシェイプエクスキュージョン。

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Briar texture of Guildhall line and "Russet Gold" color:↑

販売当時、Russet Goldというカラー名が付けられていたGolden Contrastステイン。非常に美しい肌理と色味をもち、Comoy'sのほかの高級グレードと比較しても遜色がないどころか、Guildhall独自の美しさを誇っているといっても過言ではない。パテ埋めはサンドピットライクな小さなフローを埋めたものが4つほど散見される。パテの色がステインに合っていないのが非常に残念である。

 

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Comoy's 3-Bar logo inlaid Original mould stem:↑

オリジナルのアルミフィットメントが装着された、金属板をインレイして作られた3-Barロゴを持つGuildhallのステム。アルミフィットメントはGrand Slam Patent Systemを簡略化したようなもので、特徴的な二連ボールフィルターを備えており使用感はそれほど悪くない。ただ、このサンプルのステムはいかにもといったモールド品で、ビットが分厚く咥え心地は決してよいとは言えないのが残念。ステムは製作された年代によって作りに良し悪しがあるようである。

 

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Original Box & shape comparison with #552:↑

上の写真はオリジナルのパッケージとパイプスリーブ。なかなかシックなデザインである。スリーブはチープなコットン製で、パイプ保護能力はほとんど無いに等しい。パッケージ横にはシェイプナンバーと、カラー(Russet Gold)の記載がある。下の写真はサドルビットの#552 London Prideとの比較。全体としてはファーストのハイグレードパイプであるLondon Prideにも負けない魅力を持っているパイプといえよう。

 

 

shape#337c:Prince
stem: vulcanite
junction: normal
color: Russet Gold
ornament:none
length:148mm
height: 340mm
chamber dia: 20mm
chamber depth: 28mm
weight: 35g

nomenclature:
The(script)
GUILDHALL(in upper case, serif)
LONDON PIPE(in upper case, serif)
MADE IN LONDON(circular stamp)
ENGLAND
F337c
3-bar metal inlaid logo on the stem

note:
・小さなハンドリングマーク以外ほぼ完璧なコンディション

※1 Princeは、ロンドンのパイプメーカーLoeweの手によって、1920年代にプリンス・オブ・ウェールズ(英国皇太子)エドワード(後のエドワード8世、在位1936 退位後はウィンザー大公)のために特別にデザインされたシェイプである。当時とてもスタイリッシュなシェイプとして受け入れられた。Alfred Dunhillのお気に入りシェイプとしても有名。スクワットされたアップルボウルと短めのシャンクに、1/8ベントの長めのマウスピースがフィッティングされるのが普通である。