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普通サイズよりやや大きいといった程度の、後年(60年代)のExtraordinaireとは違い、真のExtraordinaireと言えるのが1920年代に導入された800番台のシェイプナンバーを持つ一連のパイプである。これら800シリーズは多くが20cm近い全長を持ち、大きなものだと25cmを超える。<deep smoker >といった呼称がぴったりの、素晴らしい迫力のパイプである。とにかく写真を見ていただきたい。このサンプルはアーチ型のComoy'sとMADE IN ENGLANDのP.O.Sを持ち、少なくとも製作されてから60年が経つパイプであるが、前オーナーがコレクターズアイテムとして保存していたらしく、オリジナルのプラムフィニッシュが退色してしまっている点と、数個のハンドリングマークがある点を除けば、ほとんど吸われた形跡もなくパーフェクトなコンディションである。
ごくごく普通の、お手本とでも言えるようなFoursquare(4面パネルボウル、4面パネルシャンクのビリヤード)シェイプの#803。といってももし通常サイズだったらの話である。量は質を変える、という言い方があるが、単純なサイズの拡大もシェイプの印象を一変させることができるという良い例であろう。Comoy'sの潔癖で優美なシェイプエクスキュージョンも、ここではこの堂々としたマッスとしての量感に呑み込まれてしまう。まさにExtraordinaire(型破り)!と喝采したくなるシェイプ。
(上)戦前のComoy'sに特徴的なダークな色合いのコントラストフィニッシュ。煙道内に残っていた染料からするとおそらくオリジナルのフィニッシュはプラムカラーだったと思われる。
(下)これほど大きなエヴォションが無傷であるということは難しく、Comoy'sのファーストラインとしては例外的に、ボウルに三箇所の埋め木が確認される。埋め木された箇所はグレインのマッチングこそされてはいないが、非常に精密に細工を施され、一見しただけでは判別が難しい。
Comoy'sの常として、一点のゆらぎもなく正確に直線上に位置するステムジャンクション。特にこのようなエッジを多数持つスクエアシャンクでは、精度が非常に重要になってくる。エッジ部分は不用意に触ると指が切れそうなシャープさを持つ。スモーカーの口に当たる部分は、サイズが大きくとも大雑把に作られているということは全くなく、薄くて非常に口当たりの良いビットとリップを持つ。テノンのアップでは、サイズ相応な質実剛健さを覗かせる。
同じく戦前のTradition #256との対比。Extraordinaireという名前の由来がすんなりと納得できる。
shape: #803 Foursquare
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: plum contrast
ornament:none
length:203mm
height: 61mm
chamber dia: 24mm
chamber depth: 55mm
weight: 97g
nomenclature:
Comoy's (in upper case, serif, arched)
EXTRAORDINAIRE
MADE IN ENGLAND(circular stamp)
803
3-piece inlaid C logo on the stem
note:
・ボウルに数個のハンドリングマーク
・それ以外はパーフェクトなコンディション。