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私はauthorシェイプが好きです。実のところ、オールドイングリッシュに興味を持ったのも、グレッグ・ピース氏のサイトにある、Comoy's Tradition #256とSasieni Four Dot "Ashford"に非常に惹かれるものを感じたのがきっかけでした。
ebayで辛抱強く待った結果、その懸恋の2本のパイプを入手することができました。ただ、Four Dot WallnutのAshfordはこちらの写真を見て分かるとおり、ステムがリプレイスメントに交換されており、本来の美しさをスポイルされてしまっています。別にオリジナル至上主義というわけでもないのですが、ぜひともこのパイプの本来の美しさを取り戻したく、またshoplinkでリペアマンの方々も紹介している手前(そしてオールドブライヤーズのネタにもなる、という目論見も含め)、今回このパイプを実験台に、できるだけオリジナルに近いステムのリプレイスメントを海外に発注することに挑戦してみたいと思います。現在進行形でその時点での結果を報告するかたちでこのページを更新する予定です。
今回はテーマを「オリジナルのシェイプに近づける」こと、そして「ロゴの完全復刻」ということに決めたので、リペアマンはオールドイングリッシュに強い人を探す必要があります。しばし吟味した後、Dave Wolff氏の経営するWalker Briar Worksに白羽の矢が立ちました。Wolff氏の提供するサービスのラインナップにはGBDロゴの復刻などもあり、なによりebayに自らレストアしたオールドイングリッシュパイプをしばしば出品していることから、このジャンルに造詣が深いリペアマンであると判断しました。
リペアマンが決まったので早速連絡を取ります。以下がその文面。
Dear Mr. Dave Wolff
Hello, I am a pipsmoker living in Japan.
I'm looking for skillfull pipe repairman who can duplicate vulcanite stem for my Sasieni Four Dot "Ashford" pipe.
I surfed lot of internet pages and finally found an expert repairman who experienced much on vintage old English marques.
The pipe I purchased on ebay has replacement stem that has no logo and is fairly out of its original shape. I love this pipe. it smokes great, but, sadly, bad replacement stem spoils the beauty of "Ashford" shape.
Well, I have one question, here.
Can you make new replacement stem that is exactly the same as original one,
and inlay Sasieni's four dot logo made by light-blue plastic rod into it?
As a reference, I can send you some pictures of "Ashford" shape
that has original stem via e-mail.
Please answer this question when you are not busy.
Thank you.
こんにちは、Wolffさん。私は日本在住のパイプスモーカーです。今、手持ちのSasieni Ashfordのステムを新造してくれる、オールドイングリッシュパイプに造詣の深い熟達したリペアマンを探しています。
件のパイプはebayで購入したものですが、ステムはリプレイスメントでロゴもなく、形はかなりオリジナルと異なったものになってしまっています。私はこのパイプがお気に入りで、味も素晴らしいものなのですが、悲しいかな、Ashfordのシェイプの美しさは失われてしまっているとしか言い様がありません。
さて、ここで質問ですが、オリジナルに厳密に忠実なステムの製作は可能でしょうか。また、その新造ステムにSasieniの4ドットのロゴを象嵌することはどうでしょう。オリジナルのステムが写った資料写真は別途お送りすることが可能です。
お時間あるときにでもご返答ください。失礼します。
一日も置かず、Daveさんから返答がありました。内容は、
「ステムの新造は可能です。Sasieniの4ドットロゴはライトブルーのプラ棒が入手できないため色は白になってしまいますが、おそらく他のどのリペアマンもそれを再現できないと思います(念のため他のリペアマンに打診してみてください)。また、ロゴの象嵌は手作業で行なうため、ダイヤモンド型の並びに僅かに歪みが生じる可能性は否定できません。ただ、オリジナルのドットにもその不整合は存在し得るものです。ぜひともこの、あなたのAshfordのリペアを担当させて頂きたいと考えています。対価はステム製作が$18.50、ロゴの象嵌が$10.00になります」
と、簡にして要を得た文面で、真摯に自らのできることとできないことが書かれた内容でした。添付ファイルとしてオリジナルのAshfordの写真が「これがお探しのAshfordですね?」とのコメントとともに添えられていました。とても好感触で、値段も非常にリーズナブルなので(日本でリペアを頼んだときの高価さを聞いて知っているので…送料のことを考えても安い!)、Daveさんにリペアを頼むことを決定しました。
実はもう1本リペアを頼みたいパイプがあることを告げると、では実際にパイプを送ってもらえればプロの目でパイプを調べ、必要なケアの種類とその金額の見積もりをメールできるとのことでした。もう1本のComoy Tradition #256(こちらもリプレイスメントステム)まだ手元に届いていないので、発送できたらこちらから再度連絡します、と断りを入れて第一段階は終了です。
ずいぶん間があいてしまいましたが、やっと発送しました。15cmx20cmほどの箱に4本のパイプを入れて、EMSでアメリカまで1500円。2-3日で届くと思うので、その時になったらDaveさんにリペアサービスの詳細をメールします。一応自分の住所氏名と同梱したパイプのリストを印刷して同封しておきました。
パイプを4本ほど送った旨をメールしたところ、返答がありました。パイプが到着し次第見積もりをメールしてくれるとのこと。随分間が空いたのに前回までのやりとりを覚えてくれていました(汗)
EMSのトラッキングによると、パイプは17日にあちらに届いているようです。
見積もりがDaveさんよりメールで届きました。Comoy's #256、Sasieni Ashfordともにステムがかなり太く、それ用に径の大きいエボナイトロッドを取り寄せていたために少々時間がかかったみたいです。以下サービスの詳細とお値段。
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For Comoy's Tradition #256:
-new Vulcanite stem $18.50
-"C" inlay $15.00
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For Sasieni 4-dot:
-new Vulcanite stem $18.50
-4-dot logo inlay $10
-Additional refurbishing of the bowl $5
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For Comoy's Tradition #284:
-Completely refurbishing $10
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For Sasieni 2-dot:
-Completely refurbishing $10
-removing tooth marks $10
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Shipping $8
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Total might be; $105.00
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Daveさんからの注意書がありまして、「こちらで行うComoy'sのインレイロゴは送って頂いた#284のロゴよりもほんの少々小さくなってしまいます。また、Sasieniのロゴはブルーエボナイトロッドが入手不可能な為、白のドットで代用させていただきます。この二点についてもし不都合がありましたらご一報ください」とのことでした。こちらからは小異は気にしないのでこの内容で作業に入ってくれるよう返答しておきました。
この時点でDaveさんがサイトにアップしているスケジュール表。
見積もりの返答メールに
「自分はComoy'sを20本ばかり所有していますが、ステムロゴはどれもみな同じ大きさではありません。また、Sasieniのドットは経年変化によって色が薄れることがあることも理解しています。ですから提示いただいた作業内容で全くかまいません。スケジュールについては、良い仕事は時間がかかるものですから、もし少々遅れるようなことがあってもベストの作業をしていただけるなら全く問題ありません」
と書いたところ、Daveさんよりまたメールが。
「そうおっしゃっていただけてとても有難いです。あまり古いパイプのことを知らないお客様の中には、Comoyロゴのサイズにばらつきがあることをご存じない方も多く、またダンヒルのホワイトスポットにもいくつかのサイズがあることもあまり知られていません。それと、あなたの二本のパイプ用のステムを製作する上で、私は極太のエボナイトロッドを別注しました。今手元にあるものでも作れないことはないのですが、この極太ロッドがあればご希望のステムの太さを正確に再現できる自信があります。ロッドは土曜に届く予定です。そして、私の仕事にかかる時間に対するご理解にもお礼を申し上げなければなりません。私はやっつけ仕事は好みません。それは概してミスや望ましくない結果に終わることが多いからです。といっても、少々遅れが生じたとしても来週の頭には発送できると思います。どちらの場合も、作業内容は逐一ご報告できたらと考えております。きっと私の仕事にご満足いただけると思います。それでは。」
との返答がありました。丁寧だ…。
どうやらDaveさん、Sasieniのロゴ本来のライトブルードットを再現できるような材料を探し回っていたらしく、とうとうそれが入手できた旨のメールが届きました。
「作業内容を報告すると以前申し上げたので報告いたします。あなたのSasieniのライトブルードットを製作するのに必要だった適切な材料を見つけることができたと思います。こちらにその材料が届くのは水曜日なのでまだ見てはいないのですがバッチリだと思っています。ステムの製作は明日(火曜日)に始めようと思っていますが、それからドット用の材料をテストして大丈夫かどうか確かめますので作業が1-2日程度遅れることになります。ご理解いただきたく存じます。また、これらの作業がお客様に何らかの問題を起こすことはありませんのでご安心ください。自分ではSasieniのブルードットを正確に再現できるようになり、待っていただけるだけの価値はあると考えております。水曜日の夜、ブルードット製作の首尾をまたメールいたします。」
まさかここまでやってくれるとは思っていなかったのでちょっと感動…。
Daveさんからリペアが終了した旨のメールと、pdfの添付ファイルで請求書が届きました。請求の内訳は、
Comoy Tradition #256: Replacement stem, Vulcanite ----$17
Comoy Tradition #256: Inlay Comoy's "C" ----$15
Comoy Tradition #256: Ream, Clean & Polish ----N/C
Comoy Tradition #284: Remove Inner Rim Charring ----$10
Comoy Tradition #284: Ream, Clean, Buff & Polish ----N/C
Sasieni 4-Dot Wallnut: Replacement stem, Bent Vulcanite ----$18.50
Sasieni 4-Dot Wallnut: Inlay 4-Dot Stem Logo ----$10
Sasieni 4-Dot Wallnut: Ream, Clean & Polish ----N/C
Sasieni 2-Dot: Remove Inner Rim Charring ----$10
Sasieni 2-Dot: Ream, Clean, Buff & Polish ----N/C
shipping --$10.20
Total --$95.70
とのことでした。Paypalで入金すると、「迅速なご入金ありがとうございました。パイプは翌日に発送します。もしお送りしたパイプにご不満な点がございましたら、ご遠慮なくおっしゃってください。送料こちら持ちで不具合を修正いたします。私にとってはお客様が満足されることが何よりも重要なのです。ご依頼有難うございました」というメールが来ました。こちらもパイプが届いたら感想を送る旨、返信をしておきました。さて、パイプが届くのが楽しみです。おそらく一週間もすれば届くはず。
到着しました。ターンアラウンドタイムは丁度一ヶ月です。リプレイスメントステムの出来はComoy's Tradition #256 Author (circa 1938)、Sasieni Four Dot Wallnut "ASHFORD" Author (1950-1979)の各ページをご覧ください。送料が掛かりますが、1本当たり千円程度、ロゴ付きでも3000円程度でリプレイスメントステムの製作は可能なわけです。数本まとめてパイプを送ればさらにお得になることを考えれば、ebayでステムがなかったり損傷していたりするパイプも十分に購入対象足りえるのではないでしょうか。