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Pre-Trans Barling ファームが得意としたシェイプといえばまず筆頭に挙げられるのがPot、そしてSaddle billiard、Tapered billiardであるが、CanadianもEstate市場においてそれらに次ぐ頻度で遭遇するBarlingのスペシャルティ・シェイプである。このサンプルはプラム・フィニッシュのYe Olde Wood 237 Canadian。
シャンクにスタンプされたサイズコードはEL(エクストララージ)であるが、他に現存する#237を見る限り、このシェイプは本来はExELの刻印をされるのが普通のようである。このパイプのスタンプはExがバフアウトされたか、もしくは間違ってELのスタンプが押されたかのどちらかであろう。このパイプは(現在のパイプスモーカーにはスモールサイズでしかないようなパイプが多い)BarlingのELサイズにしては非常に大柄なパイプで、ボウルサイズはほぼグループ4、全長は160mm超と、フルサイズのCanadianよりやや大きめなくらいである。 BarlingはアメリカではオーバーサイズのExExELに人気が集中する傾向があり非常な高値で取引されるから、こういったExExEL以外のサイズコードを持ちつつサイズも十分なシェイプはかなりのお買い得といえるかもしれない。
このパイプも、Barling独特のシェイプエクスキュージョンと、ハンドターニングに由来する迫力によって、一種謹厳とでも呼べるような素晴らしい風格を持っていて、そのアピアランスも現代の丁寧に作られたハイグレード・モダンハンドメイドに通ずるものがある。写真ではそのあたりが上手く伝わらないのが少々残念。ややバッフィングを受けプラムカラーとスタンプ類が甘くなってはいるが、前オーナーによって非常に愛されていたとおぼしき、T.V.F.ディジグネーション付きのかなり良好な状態の1本。
ノンベベルのボウルトップ、そして上部がすぼまったすらりとしたボウルターニング、直線ではなくゆったりとしたやわらかな曲線を描いてテーパーしていくフラットオーバルシャンクと、このシェイプ237にもBarling独特のハンドターニング固有の特徴が多く現れている。非常に個性のあるCanadianシェイプエクスキュージョン(※1)。
ストレート系ではあるが、やはりあまりグレインに特筆すべき点はないのがYe Olde Woodのクオリティである。だがその非の打ち所のない丁寧なフィニッシュワークは、オリジナルのナチュラルステインが50年以上の歳月を経てこの染めあがりを見せてもまだはっきりと確認できる。
シルクスムースなエアフローを実現するPre-Trans Barlingのエンジニアリング。カメラでの撮影でも簡単に向こう側を透かして見ることができるほど巨大なリップ部の開口部と煙道径に注目。また、ビットの工作も非常に薄く、快適である。
コンセントリシティ(シャンク、ステムを通じた煙道の同軸度)、ステムの外観のアラインメントも申し分ない。写真右はシャンク横を極力レンズの歪みを排して撮ったショットだが、シャンクがやわらかな曲線を描いてテーパーしているのがよくわかる。
スタンプ類のアップ。バッフィングを受けやや薄くなっているスタンプもあるが、総じて視認可能な状態である。MADE IN ENGLANDのP.O.S.にピリオドは存在しない
shape: #237 canadian
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: natural
ornament:none
length: 164mm
height: 46mm
chamber dia: 19mm
chamber depth: 42mm
weight: 40g
nomenclature:
BARLING'S(arched, block)
MAKE(in upper case, block)
YE OLDE WOOD
237
T.V.F.
MADE IN
ENGLAND
EL
Barling Cross logo hotstamped on the stem
note:
・ステイン褪色、スタンプ類やや磨耗
・Barling Cross近辺のステム変色
(※1)ひと口にロングシャンクと言っても様々なバリエーションがあるが、Barlingにおいては何故かテーパードステム、フラットオーバルシャンクのCanadianが大半を占める。LumbermanやラウンドシャンクのLiverpool、そしてLovatを目にする機会はほとんどない。これは、Pre-Trans Barling ファームがフラットオーバルにプライドを持っていたせいではないかと推測する。LF(Long-Flat)、LLF(Long-long-Flat)、などのCanadian専用のサイズディジグネーションが存在することもその推測の強力な根拠となる。