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Pre-Trans Barling ファームが得意としたシェイプには一群のサドルビリヤード、ポット類、そしてアップルが挙げられるが、製作数は少ないにせよCherrywoodも忘れるわけにはいかない。このExELサイズのシェイプ#550はその中でも代表的なCherrywoodであり、Barlingコレクターの間で高い人気を誇る。これはレアな#550の中でもさらにレアなFossilフィニッシュの素晴らしい1本。
Barlingは独特のシェイプ感覚を誇るメーカーであるが、独自のFlat Saddle bitをフィーチャーした素晴らしく美しいクラシック・シェイプとキャラクターに溢れるFossilフィニッシュのコンビネーションはただただ感嘆を誘うのみである。このパイプはPre-Trans Barlingの中でもぬきんでたスモーキングクオリティを備えており、筆者のコレクションには現時点でこのパイプを凌駕する喫味のパイプは存在しない。アメリカのパイプコレクターの間では、素晴らしいパイプを差すのに『ホーリー・グレイル(聖杯)』という言いまわしがあるが、そんな呼び方が相応しいパイプである。そのデジグネーションの通りまさにThe Very Finest。
ほぼ同形のパイプを、mug of the pipe, by the pipe, and for the pipeとはてしなき道〜パイプ〜でも見ることができるので参照せられたし。
シリンドリカル! 一言でこの#550 Cherrywoodシェイプを表すとこうなるだろう。コンポジションとしてはごくごく単純な円柱の組み合わせにすぎないのに、この堂々たるエレガントさ、この存在感は一体何事であろうか。Cherrywoodシェイプは(単にPokerをベントさせたわけではなく)フランスのRoppが得意とした桜材製のプリミティブなパイプに典型的だったシェイプをブライヤーにコピーしたことから始まるが、そこに英国的センス、パイプメイキングの首都であるロンドンの洗礼を受けることにより、ここまで洗練されたシェイプに変化したのは正直驚きである。使い勝手もまた素晴らしいことは言うを待たない。Barling独自のFlat Saddle bitが、使用感の面以外にもエステティックなバランスの向上に一役買っていることも見逃すことはできないだろう。
鉱物的な面持ちのFossilフィニッシュのブラストテクスチャ。全面にうねうねとしたクラッギーなパターンが横溢する素晴らしさ。触感にアピールするだけでなく、単純な幾何学的シェイプである#550をさらに一段上のステージに運んでいる感覚すら覚える。このテクスチャを受け、このパイプは逆説的に、よりイデアリスティックな幾何学性を獲得しているというと大袈裟に過ぎるだろうか。色の濃い、ほぼオリジナル状態のダークプラム・ステインにも注目。
Pre-Trans Barlingのエンジニアリングについてはもはや語る言葉が尽きた。じっくりと写真をご覧になって、そのエアフローに対する意識、そのディティールに対する熱意を感じていただきたい。Flat Saddle bitの、ビット部分両サイドに走るエッジがこのパイプにはほぼ完全なかたちで残存している。
スタンプ類のアップ。ボウルボトムのフラット面に集約された誇らしげなFossilデジグネーション。Barling Crossは(周囲に変色を残すしつつだが)クリスプに残存している。また、Flat Saddle bitを示す米国レジスタード・ナンバー98046も手付かずのまま存在している。前オーナーはこのパイプを一回もバフにかけなかったようだ。
#243 Pot/billiardとのペアショット。使いこまれた#243に比べ、この#550のニアミントっぷりが強調されている。
shape: #550 cherrywood
stem: handcut "Flat" Saddle vulcanite
junction: normal
color: dark plum sandblast
ornament:none
length: 153mm
height: 44mm
chamber dia: 18.5mm
chamber depth: 37mm
weight: 40g
nomenclature:
BARLING'S(arched, block)
MAKE(in upper case, block)
YE OLDE WOOD
ExEL
550
"Fossil" (Script)
MADE IN
ENGLAND.
T.V.F.
Barling Cross logo hotstamped on the stem
note:
・Barling Cross周囲に変色