Barling's Make EL Lovat (c.1935)

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description:

Pre-Trans Barlingのロングシャンク・ビリヤードバリエーションといえばまず思い浮かぶのがCanadian、そしてBarling独自のCanadianとbilliardの中間的シェイプ、billiard short ovalであるが、ごく少数であるがLovatシェイプも存在する。Lovatシェイプは20世紀初頭、BBBが創出したシェイプであるが、後にスコットランドのLovat地方の領主、ヘンリー・フレイザー卿に愛用されたことからこの名前がつけられた。このパイプはそんなLovatBarling流エグゼキューションである。

コンパクトな全長にショートサドルビットが組み合わされ、十分なキャパシティのボウルを持つこのシェイプに、非の打ち所がないBarlingのクラフトマンシップ、そして樹齢100年を超える高品質アルジェリアン・ブライヤーの組み合わせはまさに究極のスモーカーズ・パイプと言えるのではないだろうか。グレードはBarling's Make(いわゆる生Make)でELのサイズコードを持つが、その他のスタンプ類がミニマルなこと、そして全体的なパイプの造作から1930-40年代の作になると思われる。

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Barling's Make lovat shape execution :↑

やや丸みを帯びた、バレルタイプのボウルは少々オーバーサイズ気味である。対してサドルビットは逆に短めの印象。スモールロバットの持つアンバランスな魅力を最大限に発揮させるシェイプエグゼキューション。他のメーカーのLovatには見られない、テーパーのかかったシャンクがこのシェイプにBarling独特の風格を付加している。

BarlingのサドルビットといえばFlat Saddle Bitを直ちに想起するが、Barlingの全てのサドルビットがFlat Saddleなわけではない。Lovatのようなシェイプ固有のビットがサドルタイプの場合、通常のサドルビットの個体もあり、その場合レジストレーション・ナンバーは刻印されないようだ。この個体も通常のサドルビットがフィットされている。Flat Saddle特有の両端にエッジを持つボックスタイプのビットではないことに注目。

なお、Lovatというシェイプの魅力についてはlovatコレクター、tora氏のLovely Lovats!!が詳しく解説しているので是非参照していただきたい。

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Briar texture of Barling's Make:↑

美しく染めあがったナチュラルカラー。グレインは凡庸だが、ハンドターニングのボウルは独特の存在感を持つ。レーザークリスプなトップのエッジ。

 

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Engineering of Barling's Make:↑

(上)(中)精密感に溢れるエンジニアリングのアップ。この小さなサドルビットに込められたクラフトマンシップには素晴らしい物がある。通常サドルビットの棗型リップに注目。

(下)ロングシャンクの中を微塵のぶれもなく貫く煙道。素晴らしいコンセントリシティ。

 

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Pre-Trans Barling additional stamping:↑

レーザークリスプなスタンプ類。P.O.Sは存在せず、ミニマル・スタンピング・バーリングの時代から、サイズコードだけ刻印されるようになった時代に特徴的なスタンプ・セットだと思われる。

 

 

 

shape: (N/A) lovat
stem: handcut saddle vulcanite
junction: normal
color: natural
ornament:none
length: 127mm
height: 46mm
chamber dia: 18.5mm
chamber depth: 42mm
weight: 30g

nomenclature:
BARLING'S(arched, block)
MAKE(in upper case, block)

EL

Barling Cross logo hotstamped on the stem

note:
・ニアミント、パーフェクトコンディション