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もんぺ氏と共同でebayのlotを狙い、格安で入手することができた1本。date codeが存在しないため正確な年代はわからないが、1932年から1941年の間("INNER TUBE"スタンプの欠如、グループナンバーの欠如、パテントナンバーから推定)に製造されたパイプだと思われる。Alfred Dunhillの標準的なショートアップルのシェイプ107である。
手元に届いた時はかなり状態が悪かったため、このパイプで前から試してみたかったステインの再染色に挑戦することにした。再染色はどれだけオリジナル・ファクトリーが使用していたステインに近いものを探しだせるかをキーポイントとし、レストア時の経験から、1)アルコールでシャンク断面などのステインをストリップした際に剥離する色 2)オリジナルの中でもステインが濃く残存しているボウルを布で乾拭きしたときに剥離する色を参考に、1910年代のBruyèreの登場時から入手可能だったということを考慮に入れて、ある自然由来の染料をセレクトして行った。結果はごらんの通り、オリジナルのBruyèreのステインの完全に近いところまで再現することができた。
Dunhill Kなどと比べるとシャンクが太く、よりクラシックなエグゼキューションとなっているシェイプ107。後年グループ4に分類されるパイプであるが、全長はKよりもずっとコンパクトである。ラウンド処理されたリムが特徴的。
再染色されたBruyèreカラー。ダンヒルは現在に至るまで、コントラスト・ステインの技法を全く導入することがない珍しいメーカーでもある。オリジナルのBruyèreカラーも、染料を繰り返し適用することでこの深いプラムカラーを実現していると想像できる。
(上)ジャンクション部には問題はなかったが、少々ステムが痩せてしまっているのは残念。
(下)リップエッジも消失していたため、模型用のヤスリを用いて最小限の実用性を持つエッジを確保した。
(上)手元に届いた時には既に刻印はほぼ消失してしまっていた。
(下)PAT.No は1343253/20だが、date codeは最初から刻印されていないようである。
(右)ホワイトスポットは20年代のものに近い、径の小さなアイボリードット。
(上)リフィニッシュ工程中、サンディングされ全てのステインをストリップされた姿。Root Briarに非常に近く見えるが、やはりブライヤーの元々の色がそれほど良くはない。
(下)左のパイプは1929年製、オールオリジナルのBruyère 59。色味、濃度共に非常にオリジナルに近い仕上がりになっているのが納得いただけると思う。
shape: 107 apple
stem: handcut vulcanite
junction: normal push tenon
color: bruyère plum(restained)
ornament:none
length:142mm
height: 38mm
chamber dia : 19mm
chamber depth: 32mm
weight: 38g
nomenclature:
A
DUNHILL
LONDON
MADE IN ENGLAND
PATENT No 1343253/20(no date code)
107
white dot on the stem
note:
・再ステイン処理済み
・ステムジャンクションにギャップ
・バイトマーク(補修済み)
・リフィニッシュ・コンディション