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非常にエレガントな印象のBruyère Bent sitterシェイプ831。このシェイプはとても数奇な運命を辿ったシェイプであることは、John Loring氏が自らのサイトでコラムをひとつ割いて解説している。
シェイプナンバーからも容易に想像がつく通り、もともとこのシェイプ831はOD 800シリーズの一つとして1950年頃に発表されたシェイプだった。しかしODシリーズがOversized Dunhillであるという定義がより鮮明になるにつれ、風変わりではあるがグループ4程度の容量しか持たないシェイプ831はOD刻印が外されることになったのである。Loring氏の想像するところによれば、1950年の登場当時…ODB 831→1953年…ODA 831→1956年…グループ4シェイプ831というプライスポイントの変更があったのではないか、ということである。
このサンプルは1967年製、グループ4としてのアイデンティティが完全に定着したころのBruyère 831である。カテゴライズの変遷はありこそすれ、シェイプの独自性とエレガントさ、そしてsitterシェイプとしてのユーザビリティを高次元に統合したこのシェイプ自体の美しさは変わらない。
以前紹介したBarling's Make YOW Fossil ExEL bent sitterと酷似したシェイプである。件のFossilの製造年代は終戦直後〜1960年までとdatingに幅があるので、どちらのメーカーがこのシェイプを最初に着想したのかは今となっては定かではない。一種奇跡のような極小の底面積と十分なグループ4チャンバー容量、快適なベントシェイプの統合は両者に共通しているが、すらりと優美に伸びた薄いサドルビットのお陰でエレガントさはこの831が数段勝っている。
ボトムの前傾したカットの仕方に惑わされるが、サイドビューをよく見ると、コンサバティブなフルベント・ダブリンとさほど変わらないディメンションを持っていることがわかる。hungarian/oom paulなどよりもエアフローの面では無理のないシェイプであることに注意。
1967年当時のBruyèreカラー。1960年代になるとオリジナルのBruyèreカラーよりも色味が明るくなるが、これは同染料を使いながらも染料の濃度が薄くなっり、適用の回数が減らされたためであると思われる。ほぼニアミントな個体だが、チャンバーリム前面についた着火時の炎による焦げだけが惜しい。
1960年代のAlfred Dunhillのパイプの標準的なエンジニアリング。どの箇所をとっても非常に精度が高い。リップは薄くベントもあいまって非常に快適な咥えごこちである。
1952年から1975年までの標準的なDunhillの刻印群。date codeは7がはっきりと打刻されている。ホワイトスポットは径の大きな純白のプラスティック製のもの。
shape: 831 bent sitter
stem: handcut vulcanite
junction: normal push tenon
color: bruyère plum(restained)
ornament:none
length: (across)152mm
height: (bottom to bowl edge)63mm
chamber dia : 19mm
chamber depth: 43mm
weight: 41g
nomenclature:
831
DUNHILL
BRUYERE
MADE IN ENGLAND
4(in cricle)
A
white dot on the stem
note:
・チャンバーリム前面に着火焦げ