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このYe Olde Wood "Fossil"の、迫力あるシェイプをじっくりと見ていただきたい。実に形容しがたい、CherrywoodとBent dublinの中間のような、絞られたボウルとフラットボトム、そしてフルベントのステムを持つシェイプである。DunhillのODA 831がほぼ同型で、Dunhillエンスージアストの間でBent Sitterと呼ばれることが多いので、ここでもそれに習おうと思う。シェイプの呼称はさておき、フルベントの快適さと、サイズを感じさせない非常な軽さ、スタンドアップ・シェイプ独特の使い勝手のよさに加え、"Flat"サドルビットによって強調された異形といってもいいほどの風格を併せ持つ。素晴らしいとしか形容のしようがないシェイプである。
ExELサイズコードが与えられたこのシェイプにはNichols Shape Numberがアサインされておらず、ワンオフのスペシャルシェイプであると考えられるが、サイズコードまで同じ全くの同シェイプを他に見かけることもあるので、おそらくレギュラープロダクションに準じる量が製作されていたシェイプだと思われる。ExELとはいうもののボウルサイズはそれほど大きくはないが、キャパシティはグループ4〜5に相当する十分な量がある。
"Fossil"の名にたがわずブラストテクスチャも戦慄を催すほどで、素晴らしくクラッギー。ステムルーズなど状態はパーフェクトとは言えないが、全体的なコンディションは非常に良好である。Pre-Trans Barlingファームの名を高らしめた、樹齢100年以上のエア・キュアード・アルジェリアン・ブライヤーの叩き出すスモーキングクオリティも極上で、持つことに強い喜びを感じさせるパイプである。
どの角度から見てもどっしりとした安定感を感じさせるのは、シェイプの完成度が非常に高い証拠であろう。一般のCherrywoodやPokerは重心が後ろに位置しすぎ、形としてはともかく実用的な安定性に欠けるのが難であるが、このシェイプはフラット・ボトムを斜めに切ることでその問題点を解消しつつ、挑戦的で魅力的な印象をも形作っている。Poker系のシリンドリカル(円柱状)・ボウルではなくdublin系のコニカル(円錐状)・ボウルであるが、ボウルトップはドーム状のふくらみをもち、さらなるキャラクターを付与しているのは凄みすら感じられる点だ。Barling特有の"Flat"サドル・マウスピースの規格外の迫力と、ボウルの凝縮された造形性がぴったり均衡を保ち、一つのマッスとして存在するのは見事の一言。
やはり"Fossil"のブラストは美しい、と嘆息するのに十分なブライヤー・テクスチャ。円弧上にボウル側面に現れたリング系グレイン、深くあらあらしいバーズアイ、そして彫像のような印象すらあたえるボウルトップに浮き出た波状のグレインは、シェイプの印象も相俟って、化石化し鉱物となった古代の大木の根を思わせる。まさに"ストライキング"(戦慄を覚える)なグレインクオリティ。ここではやはりシェラックを使用して、さらなる質感と色味の深さを強調している。
この個体はBarlingには珍しくエアフローがそれほど良くはないパイプである。おそらく深いベント角度のせいだと思われる。しかし巨大な楕円形となってリップに穿たれたエアホール・ファンネルは、柔らかで深い煙の質を保証している。煙道の造りもいつもながら完璧。
スタンプ類のアップ。バッフィングを受けやや薄くなっている箇所もあるが、総じて視認可能な状態である。当然ながら字体は全て他のPre-Trans Barlingのサンプルと共通。
shape: (N/A) Bent sitter
stem: handcut "Flat" Saddle vulcanite
junction: normal
color: dark plum sandblast
ornament:none
length: 127mm
height: 62mm
chamber dia: 19mm
chamber depth: 44mm
weight: 36g
nomenclature:
BARLING'S(arched, block)
MAKE(in upper case, block)
YE OLDE WOOD
ExEL
"Fossil" (Script)
MADE IN
ENGLAND.
T.V.F.
Barling Cross logo hotstamped on the stem
note:
・スタンプ類やや磨耗
・ステムルーズ