Ye Olde Wood "Fossil" #275 T.V.F. EL (1946-1949)

description:

オールドブリティッシュマークを俯瞰して、キャラクターと魅力の面でPATENT期のDunhill Shellbriarに対抗できるサンドブラストパイプを探すとすれば、このBarlingのサンドブラストグレード、Fossilを於いて他にない。Fossilは第二次大戦後近辺に導入されたグレードで（それまでBarlingにサンドブラストが存在しなかったわけではないが）、その"Fossil"(化石)というディジグネーションの通り、非常にクラッギーで荒々しいキャラクターを持ったパイプが多いのが最大の特徴である。ライバルであるShellbriarのダークレッドよりもやや紫味の強い、ダークプラムカラーでコントラストステインされた透明感のある美しいフィニッシュを持つ。

このパイプは以下の点で三重にレアなビンテージ・ブリティッシュパイプである。
1.Pre-Trans Barlingはレアである。
2.スムースパイプにスペシャリティを置いていたBarlingのFossilはレアである。
3.Barlingに於いて、ベント・パイプはレアである。

そんな希少価値にも加え、このサンプルはニアミントのコンディションであることが素晴らしい。誇らしげに刻印されたステムのBarling Cross Stamp、同Registered No.、Barlingのトレードマークでもある"Flat"サドルビット、3-digit Nicols シェイプナンバー、T.V.Fディジグネーション、Pre-Trans Barlingのシルク・スムースな喫煙特性、Fossil特有のクリスピーなブラストと枚挙に暇がないほどの魅力的なフィーチャーで完全武装した強烈な1本。

 

Barling's Make 275 shape execution :↑

Barlingにはベントシェイプはそれなりにラインナップはされているものの、estate市場で遭遇することは非常に少ない。このシェイプ275は非常にオーセンティックなベントシェイプであるが、Barling独特の"Flat"saddle bitを備えているため、その幅広でスクエアーなアピアランスは通常のサドルベントの印象から完全に逸脱している。ベントというプルーフの取れた枯れたフォーマットと快適なサドルビットで使い勝手も良好に保ちつつ、非常に印象に残るシェイプ。

ELサイズコードはExtra Largeの略ではあるが、通常はその名に反して小ぶりのパイプが多いのはBarlingエンスージアストの良く知るところである。だがこのサンプルはELサイズとしては例外的に大型で、ボウル容量もグループ4程度は十分にある。

 

Blast texture of Barling's Make "Fossil" :↑

非常にディテイルド（目が細かく）でクリスプ（ブラストの起伏のエッジがシャープであること）なBarling's Make "Fossil"のサンドブラストテクスチャ。ブラストの迫力は十分でありながら、そのテクスチャがイーブン（起伏のレベルにムラがない）であるためシェイプの魅力をスポイルせず、謹厳な端正さも同時に備えているのが実に素晴らしい。生物的であるよりも鉱物的な趣があるあたり、正に＜鉱物化した生命＞であるところの"Fossil"の呼称は当を得ていると言えないだろうか。

なお、今回もファイナルタッチにシェラックを使用している。まさにファクトリーから出てきたばかりに思えるタイムマシンのような効果があるフィニッシュ法である。

 

Engineering of Barling's Make:↑

Pre-Trans Barlingのエンジニアリングにはいつも驚かされる。細心な配慮が終結した卓越したクラフトマンシップのまさに"見せ所"である。"Flat" saddle bitの巨大なリップ部の開口部に注目。

 

Pre-Trans Barling additional stamping:↑

（上）良好な状態で保存されたBarling CrossとRegisterd Noのアップ。 （下）Barlingコレクター垂涎の数多くのディジグネーションが集結する、スタンメル底部のスタンプエリアのアップ。MADE IN ENGLANDのP.O.S.はDの後ろにピリオドが付いている。その下に透けて見える美しいプラムカラーの色合いにも注目。