旅の終わり

3月 16th, 2025
Foundation by Musicoのタンブラスト・アーミーベント

パイプを、吸っている。

上の写真は数年前に新品で購入して、数年間New in Boxで保管していて、今年(2025年)の元旦にいい加減吸うか~、と下ろしてきてブレイクインしたFoundation by Musico(むじこ)のタンブラストアーミーベントだ。それ以来2ヶ月以上、ほぼこのパイプだけを使っている。僕は10年ぐらい前にシガレットをきっぱり止めて以来毎日10ボウル程度はパイプを吸うというハードコアなパイプスモーカーだから、単純計算で700ボウルはこのパイプを吸っていることになる。手入れは吸い終わったら灰を捨てて(あやしい)リップを拭い(あやしい)モールを(10ボウルに一回程度)通し、1週間に一回ぐらい溜まったカーボンを根こそぎ削り落とす(めんどくさい)ぐらいだ。

だが特に問題ない。
世の中で言われているパイプスモーキングハウトゥーなんて、どんなに嘘八百に塗れているか、よくわかる例だと思う。

僕はパイプを吸っている。吸いまくってる。

今までレストアしたビンテージパイプは200本ぐらいあると思う。数えるのが怖いから数えていないけれど、パイプコレクションは300本は優にこえているはず。そして机の上には20本程度のFoundation by Musicoが乱雑に積み上げてあり(汚らし過ぎて写真は見せられない)、何本かお気に入りのダンヒルやらコモイやらがその中に埋もれている。

だが、僕はほぼ二ヶ月半のあいだ、このパイプだけを吸って過ごしている。

使いやすいパイプであることは間違いない。僕はFoundation by Musico、特にファビオ・マルケーゼ氏が誂えるマウスピースこそが世界最高の逸品だと考えていてどんなハンドメイドパイプのウッスゥ ~ ウィリップよりも愛しているのだけれど、おそらくそれが理由ではない。

パイプなんてただの道具だからだ。

300本パイプを経験して、ウェブサイトも運営し、パイプのことを学んだ。そしてそこで習ったのは、パイプとは実際に使用できるアートであると同時に、つまらない日用の道具である、ということだ。自動車整備工が使うレンチだったり、事務員が使うボールペンとおなじようなものである。

これを旅の終わりと呼ぶのがふさわしいのか、僕にはわからない。旅のはじまりであると言えるかもしれないし、もっとしっくりくるのは旅の最中だということだろう。

先日とあるパイプ関連noteを見ていたら、<ビンテージパイプレストア関連のblogはみんな更新が15年前に止まってる。当時ハシャいでいた人たちは何やってんの?ジジイだから死んでるんじゃねえの?>みたいな煽りを食らっているのを見かけたので、別に死んでねえよ、パイプ吸ってるだけだよ、とお伝えしたくて久しぶりにblogを更新しました。

争うようにオークションでパイプを落札したり、レストアのテクニックを磨いたり、昔のメーカーについていろいろ調べたりしていた頃に比べると、今は別に楽しかねえけど、でもパイプはあのときよりもはるかに僕の身近にある。

パイプを、吸っています。

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