defaulteyecatch

サドルステムの部位名称について

6月 8th, 2015

最近パイプメイキングをたしなむ友人・知人が増えてきました。そのことに関しては別に記事を立てるつもりですが、今日はそんな彼らとやりとりをしていて気づいた小ネタというか、提言というか。

それはサドルビット、サドルステムに関してです。このサドルという語、普通に訳すと馬の鞍、ということになるのでしょうが、馬のサドルにサドルステムとの形状の類似が見られないことから、おそらく自転車のサドル(シートというのが一般的らしい)のほうだと思います。このマウスピースから余計な部分をカットしたカタチを、自転車のサドルを上から見た姿になぞらえたものなのでしょう。

ところが、前述のパイプメイカーの方々と話しているうちに、このサドルステムの形状を云々するのに非常に不便を感じました。マウスピースはテーパードが普通で、部位の用語も(一応)揃っているのですが、サドルステムに関してはこの特異な形状の各部位を指す用語がないのです。英語圏の文献やネットでの会話も漁ってみましたが、サドルステム独自の部位名称というのは定まってないようです。

saddlebit

というわけで、図をごらんになっていただければ一目瞭然ですが、サドルステムを剣に見立てて、「ヒルト(柄)」「ブレード(刃)」「フランジ(鍔)」という語を使ってみてはどうかな、というお話です。よりスペシフィックには、「サドル・ヒルト」、「サドル・ブレード」、「サドル・フランジ」と言えば間違いが少ないのではないかと思います。…これは僕の独創というか、勝手にこう呼んだら便利じゃないの、という話ですので、どこかに典拠とか根拠とかがあるわけではありません。ただ必要とされるパイプメーカーとか、コレクターの間で便利に使っていただければ、ということに過ぎませんので悪しからず。

サドルステムにも、結構メーカーや作家での個性があるもので、たとえば一番分かりやすい例だと、Barlingにはたまに、Barlingクロスが打てないくらいに極端なショートヒルト(そう!こうやってスマートにあの部位を指示することができるのですよ!快感!!)のサドルビットがあります。ダンヒルは少なくとも1970年以前は、テーパーステムがメインのファクトリーで、サドルステムはモディファイヤ<6>のスタンプがついたテーパーステム・シェイプのバリエーションである、という位置づけでした。そのモディファイドなサドルステムはこれまたBarlingとは対照的に極端なロングヒルトで、独特の風格があります。作家さんと話していると、このサドル・ヒルトの切り方でずいぶんとシェイプの印象も変わってくるという話でした。このあたり、ここで提示された用語を使ってガンガン議論していけば、サドルステムの美の規範(ノルマ)などもできあがってくるのかもしれません。その一助までにこのエントリを書きました。

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