昨今の日本のパイプスモーキング界について

6月 8th, 2013

ここ最近、インターネットのブログ等を回って見ていると、何か以前よりもゆったりと気負いなくパイプを楽しんでいる方々が増えてきたようにも思えます。実によいことです。

僕がパイプを始めた頃(2005年ぐらいだっけ)は、なんというか過渡期というか混濁期というか、日本のパイプスモーキング界隈は結構ヤバい状況でした。古色蒼然というか千年一日というか、やれ<カーボンを早く付けるにはボウルに蜂蜜を塗ればいい>とか、<煙草は三段詰めにするのが故アルフレェエッド・ドゥンヒル卿の教えだ>とかのクソの役にも立たない古臭い風習がしつこく残っている一方で、とある業者がやれ乾いたブライヤーは美味いだの吹聴すれば誰もがこぞって手持ちのパイプを乾燥剤入りのタッパーにしまいこんだり、とある彫り物職人がパイプのラジエーター効果だのと言い出せばたちまち気味悪い文様が入った白木パイプがブログを賑わせたりと、とにかく古いオカルト・新しいオカルトが入り混じり、迷信・盲信がカオスとなって初心者を惑乱。結果僕らをして「パイプを楽しむ」というところから遠ざけに遠ざけていた状況だったのです。こんなんじゃゆったりと煙草を味わえるわけはねえよ。

かくなる状況はクソ・ダセェ、俺ぁこいつらとは係わり合いになりたくねえでござんす、と思った僕は情報源を海外のフォーラムやウェブサイトに求め、その結果ビンテージパイプなる趣味を見つけてそこに深く耽溺することになったわけですがそれはまた別の話。国内でも数少ない正気の方々がブログやツイッター、さらにはオフミーティングなどで地道に啓蒙活動を重ねた結果、今ではこれらのうちかなりの迷信やオカルトを克服できたように思えます。それが前述したゆったりとパイプを喫っている、趣味として確立したパイプスモーキングを楽しんでいる人たちが多く目に付くことに繋がったのかなあ、と。

僕に言わせれば、パイプスモーキングなんて大して難しいものじゃありません。そりゃ初心者の頃はジュースを沸かせたりパイプを焦がしたりで、勿論それでは煙草を味わうまでにはいかないでしょうが、そんな時期は向上心さえ忘れなければ数年で終わります。考えてみれば簡単なことですが、パイプなんて大して複雑でもない構造物で、適切に煙草を詰めて適切なスピードで吸ってやれば美味く吸えます。そこには摩訶不思議な深遠なる賢者たちの知恵も妖精たちの妙なる魔法もありません。ロマンチックではありませんが単なる物理法則の結果として、パイプは美味しく吸えます。ホントそれだけの話です。

思うに、これまでの日本のパイプ界は「いかにパイプを上手に吸うか」ということに拘泥するあまり、その先に広がる豊かな世界を見ずに来ていたのではないか。喫煙技術は重要ですが、パイプスモーキングに於いてパイプの扱いとはあくまで従の要素に過ぎないものであり、<味わうこと>の主役は煙草です。煙草を知ることこそ、真にパイプスモーキングを楽しむための入り口になると考えます。このブログでも、そこにスポットを当ててエントリを書いていくことになると思います。

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